Story 私にとっての5-56 長谷川 穂積氏

様々な世界で活躍するリーディングパーソンへのスペシャルインタビュー「Story 私にとっての5-56」。
第2回は、昨年9月に3階級制覇を達成し、その後、引退を発表され大きな話題になったプロボクサーの長谷川穂積さんにお話を伺います。

「『練習が本番、試合はオマケ』
という気持ちでやってきました。」

Q:この度は3階級制覇、おめでとうございます。そして、チャンピオンのまま引退ということで、こちらも「おめでとうございます」で、よろしいのでしょうか。

長谷川穂積さん(以下/長谷川):ありがとうございます。そうですね。これで一段落つきましたから、祝福していただけるとうれしいです。

Q:プロボクシングの世界では、3階級制覇だけでも偉業ですが、長谷川さんの場合、WBCという世界最大の加盟国を持つボクシング機構内での3階級制覇ということにも意義があると思います。

長谷川:特に狙っていたわけではないので、運が良かったということかもしれません。

Q:今回、チャンピオンのまま引退するという決断は、勇気が必要だったのではないでしょうか。

長谷川:いや、むしろ負けて引退というのはイヤですね。勝って花道を、という方が好きです・・・あ、でも、勝ったら勝ったで、もっとやれるかなという気持ちも出てきますからね。どっちにしても、難しいです。始めるのは簡単ですけれど、辞めるのは難しいですね(笑)

Q:長谷川さんの場合、バンタム級からフェザー級へと飛び級で転向されましたが、階級を変えた時はどのように身体作りをされたのでしょうか。

長谷川:基本的には身体作りは変えないようにしていました。例えば、バンタム級時代には試合前に10キロぐらい減量していたんですが、フェザー級になると4キロほど規定体重が増えますから、同じ身体なら減量は6キロぐらいでいいわけです。
10キロ落とすのに3週間ぐらいかけるんですけれど、6キロだと1週間で落とせるので、その分ハードな練習が続けられるんです。

Q:減量期間に入るとハードな練習はできなくなるんですね。

長谷川:試合が近づいて減量を始めるとスタミナがなくなるので、練習も減量モードになります。減量期間が短ければ、より試合の直前までハードな練習ができるんです。

Q:試合と試合の間の練習スケジュールというのは、どのようになっているのでしょうか。

長谷川:ジムや選手によって違いますけれど、私の場合、試合後は2週間ほど休んで、それから徐々に練習を始めます。次の試合が決まって、本格的に試合用の練習を始めるのが、だいたい試合の2ヶ月前ですね。
その辺からキャンプを張って本格的な走り込みや、試合に向けてのスパーリングが始まります。

Q:そうしますと、実質的な練習期間は1か月半ほどということですか。

長谷川:そうですね。ですから減量期間を短くして、その分を練習に使うようにしたんです。

Q:その時の練習の質や量が、結果的に試合を左右するんでしょうね。

長谷川:そうです。私はよく「練習が本番、試合はオマケ」って言っていたんですけれど、練習が何より大切だと思っています。

Q:そうなりますと、練習する環境も大切になってきますね。

長谷川:そうですね、練習が大切とは言っても、練習はキツいですし行きたくない気持ちもありますからね。それでサンドバッグがギシギシしていたりすると気持ちが萎えるというか、モチベーションが下がりますね。

Q:サンドバッグがギシギシする?

長谷川:数十キロあるサンドバッグを金属の鎖と金具で支えているんで、金属同士が擦れて傷んでくるんです。そうすると動きが悪くなって、打っていても気持ちが悪いというか、リズムに乗れないんですね。

「KURE5-56は、
ボクシングジムにとっては必需品ですね。」

Q:用具のメンテナンスが直接、試合に影響してくるとも言えますね。

長谷川:そうなんです。ですからKURE5-56はよく使いますよ。サンドバッグもそうですけれど、パンチングボールの金属部分にも使いますね。
ボールの戻りとか、かなりスムーズになりますね。サンドバッグのギコギコとした鳴きも無くなるんで、打っていて気持ちいいですね。
ちょっと感じが悪いだけで、けっこう頻繁に使います。ジムにいつも置いてあるんで、すぐに持ってきてシューッとやりますね。もう、うちのジムの必需品ですし、ほとんどのジムは置いてあると思いますよ。

Q:やっぱり練習環境は大切ですね。

長谷川:昔と違って、今のボクシングジムは、ボクシングをする人だけじゃなくて、スポーツジムとして通う女性も多いですし、そういう意味でも、器具のメンテナンスは重要ですね。
やっぱり、ギシギシ鳴くサンドバッグは、みんなイヤだと思いますよ(笑)

Q:長谷川さんは、普段の生活でもKURE5-56をお使いになりますか。

長谷川:家でもよく使いますね。自転車によく使います。けっこう毎日のように自転車に乗るんですけれど、動きが気になると、すぐにシューッとかけます。そうすると、すぐに動きが良くなるんで気分がいいですね。
あ、それから、神戸の三宮で「クルアタイ」っていうタイ料理のお店を経営しているんですけれど、そこでもKURE5-56を使っているんです。先日、ドアがギィギィ鳴るんでKURE5-56をかけたら一発で音が消えて、タイ人の料理人がビックリしていましたよ(笑)

「KUREさんは一緒に戦ってきた
パートナーみたいなものですね。」

Q:KURE5-56は、昔からご存じでしたか。

長谷川:もちろん、子供の頃から知っていました。ただ、私にとって一番身近なKUREは、リングマットの「KURE」のロゴマークですね。
ある時から、リングマットの中央に「KURE」のマークが入るようになって、世界戦とか、その前哨戦とか、大切な試合では必ず一緒でしたからね。
確かに、ジムや日常生活でKURE5-56を使っていますけれど、私にとってはKUREさんは一緒に戦ってきたパートナーみたいなものです。

Q:今後については、どのような展望をお持ちですか。

長谷川:できれば後進の指導をしていきたいですね。世界チャンピオンを育てたいというよりも、より多くの人にボクシングの楽しさを知って欲しいですね。
そのための活動をしていきたいと思います。

Q:長谷川さんはベストファーザー賞を受賞するほどの良き父親でもありますが、ひとりの父として、お子さん達に思われることはありますか。

長谷川:息子は、特にボクシングをやる様子もないですし、やらなくてもいいと思っていますが、とにかく自分のやりたいことを見つけて、それに向かってガンバって欲しいと思っています。
娘は・・・やがて、この子も結婚して離れていくんだな、なんて最近思い始めて、ちょっと感傷的になったりしています(笑)

3階級制覇の世界チャンピオンも、お子さんのことになると思わぬ一面が出るようです。ただ強いだけでなく、その生き方に魅力を感じさせてくれる。そんな長谷川穂積さんの今後のご活躍に期待しています。

Profile

長谷川 穂積
生年月日 1980年12月16日
兵庫県西脇市出身 真正ジム所属
1999年11月 プロデビュー。
2005年4月 14度の防衛を誇ったウィラポン・ナコンルアンプロモーション(タイ)を破ってWBC世界バンタム級王座を獲得。5年間に10度の防衛に成功。V6戦からV10戦まで5連続KO防衛。
2010年11月 フェザー級に転向後、ファン・カルロス・ブルゴス(メキシコ)を破り、飛び級での2階級制覇達成。
2013年2月 スーパーバンタム級転向。
2016年9月 ウーゴ・ルイス(メキシコ)を破ってWBC3階級制覇を達成。
2016年12月 引退を表明。